JOURNAL

2026/10/17 07:55

AIと一緒に、小さなお店の仕組みを作ってみた。

magic carpet designを始めて8年。

商品を考えて、設計して、試作して、販売する。

基本的には、そうしたことを自分でやっています。

もちろん、ものづくりだけをしていればいいわけではありません。

注文の確認、売上の集計、制作する商品の整理、発送の管理、お問い合わせへの対応。

お店を続けるためには、こうした裏側の仕事も欠かせません。

一つひとつは、それほど大変な作業ではありません。でも、毎日繰り返していると、それなりの時間になります。

そこで最近、以前から考えていたお店の運営を自動化する仕組みを作り始めました。

今回は、その取り組みについて少し書いてみようと思います。


自動化したかった理由

きっかけは、とても単純です。

もっと、ものづくりに時間を使いたい。

例えば、注文が入るたびに管理画面を開いて、商品と数量を確認する。

制作が必要なものを整理して、発送状況を確認する。

売上も定期的に確認して、数字をまとめる。

どれも必要な仕事ですが、その多くは毎回ほとんど同じ手順です。

だったら、その繰り返しの部分はコンピューターに任せられないだろうか。

そう考えました。

もう一つ理由があります。

人間は、どうしても間違えるからです。

注文の見落としや転記ミス、制作の確認漏れ。

注意していても、作業が増えればリスクも増えます。

自動化することで、時間を節約するだけでなく、こうしたミスを減らすことも目的でした。


AIに相談するところからスタート

今回使ったのは、普段から利用しているネットショップのBASEと、ChatGPT、GoogleのスプレッドシートやApps Scriptです。

実は、私はプログラマーではありません。

設計やデザインは仕事にしていますが、システムを専門に作ってきたわけではないので、分からないこともたくさんあります。

そこで、まずChatGPTに相談しました。

今のお店の運営で、どんな作業を自動化できるのか。

何から取り組めばいいのか。

既存の注文データを壊さず、安全に仕組みを作るにはどうすればいいのか。

そうしたことを一つずつ整理していきました。

最初から大きなシステムを作ろうとはせず、まずは毎日の注文情報を正しく取得するところから始めています。

BASEと直接つなぐ

今回の仕組みで中心になったのが、BASEのAPIです。

APIというのは、簡単に言えば、異なるサービス同士が情報をやり取りするための窓口のようなもの。

通常はBASEの管理画面を開いて確認する注文情報を、プログラムから取得できるようになります。

これを利用して、BASEの注文データをGoogleスプレッドシートに取り込み、管理する仕組みを作りました。

目指しているのは、注文が増えても管理作業が比例して増えない状態です。

例えば、注文情報をもとに、制作が必要な商品を整理する。

未発送の商品や進捗を把握する。

売上を集計し、いつでも確認できるようにする。

こうした情報を一か所で確認できれば、複数の画面を行き来する必要も減らせます。

もちろん、すべてが一度に完成したわけではありません。

機能を一つずつ作って、確認しながら進めています。

意外と難しかったのは、数字を正しく扱うこと

実際に始めてみると、単純にデータを取得するだけでは不十分だと分かりました。

例えば、注文金額と実際の売上として扱う金額は、必ずしも同じではありません。

割引や手数料、注文の状態など、考慮することがあります。

また、同じデータを何度も取得したときに、二重に登録されてしまっては困ります。

APIの通信に失敗したからといって、それまで保存していたデータが消えてしまうのも問題です。

そこで、重複登録を防ぐ処理や、エラーが起きた場合に既存の情報を保持する仕組みも追加しました。

実際の注文データと照合し、正しく集計されているかも確認しました。

ここで気づいたことがあります。

自動化で大切なのは、作業を自動で実行することよりも、その結果を信用できること。

数字が自動で更新されても、それが正しいか分からなければ、結局は人間がすべて確認することになります。

それでは、あまり意味がありません。

便利さだけでなく、安心して任せられる仕組みにする。

この部分には、思っていた以上に時間を使いました。

ようやく、ひとつの形に

試行錯誤を重ね、BASEの売上情報を毎日自動取得・集計する仕組みが完成しました。

管理用の画面では、データの更新状況や売上、エラーの有無などを確認できます。

取得した情報を重複させず、通信エラーが発生しても、それまでのデータを保持するようにしています。

今後も実際の運用を通じた確認は必要ですが、少なくとも、毎回手動で数字を集める必要は減らせそうです。

現在は、注文から制作、発送までの情報をさらに整理し、日々の運営をまとめて把握できる仕組みづくりも進めています。

ここまで進めてみると、次に改善したいところも自然と見えてきます。

一度に全部を完成させるのではなく、使いながら少しずつ育てていく。

製品の試作と、意外とよく似ています。

AIを使って感じたこと

今回の取り組みで面白かったのは、専門的なプログラミングの知識が十分になくても、AIと相談しながら仕組みづくりを進められたことです。

もちろん、AIが提案したものがすべて正しいわけではありません。

実際のデータと照合したり、動作を確認したり、必要に応じて修正したりする作業は欠かせません。

それでも、以前なら自分だけでは手をつけなかったことに挑戦できるようになりました。

これは大きな変化だと思います。

一方で、AIを使うほど、人間が判断する部分の重要性も感じました。

何を自動化するのか。

どこまで任せるのか。

何を基準に正しいと判断するのか。

こうしたことは、最終的に人間が決める必要があります。

AIが得意なのは、作業を助けたり、実現するための選択肢を増やしたりすること。何を実現したいかを決めるのは、自分自身です。

今回、そんなことを実感しました。

効率化の、その先にあるもの

効率化という言葉は、少し事務的に聞こえるかもしれません。

でも、今回やりたかったのは、単に仕事を早く終わらせることではありません。

商品のアイデアを考える時間。

素材や構造を検討する時間。

試作品を作って、実際に確かめる時間。

そして、少し遠回りしながら、新しいものを生み出す時間。

そうした時間を、できるだけ確保したいと思っています。

ものづくりには、効率だけでは測れない部分があります。

何度も試作したり、うまくいかない原因を考えたり、予定になかったアイデアが生まれたり。

むしろ、そういう時間こそ大切にしたい。

だからこそ、機械に任せられる仕事は、少しずつ任せていこうと思います。

お店の裏側を整えることも、広い意味ではデザインなのかもしれません。

使いやすさを考え、無駄を減らし、必要なものを必要な場所に配置する。

対象が製品から運営の仕組みに変わっただけで、考え方はよく似ています。

magic carpet designの裏側では、そんな小さな改善を続けています。

まだまだ途中ですが、なかなか面白い取り組みです。

そして、そこで生まれた時間を使って、また新しいものを作っていきたいと思います。

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